ホーム > WEBマガジン > 【開発品紹介】柔軟性・摺動性改良樹脂「PEEK/フッ素樹脂複合材料」

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開発品紹介

12/2022

柔軟性・摺動性改良樹脂

PEEK/フッ素樹脂複合材料(開発品)

ダイキンは、PEEKとフッ素樹脂の複合材料を開発しました。機械特性や耐薬品性などのPEEKの良さを活かしながら、フッ素樹脂との複合により柔軟性と摺動性を大幅に改良しました。既にPEEKが使用されている用途で「もう少し柔らかさがほしい」というようなご要望や、摺動性の付与による新たな用途への展開が期待されます。

1. PEEKとは

PEEKは、Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)の略称で、熱可塑性樹脂のスーパーエンジニアリングプラスチックに属する樹脂です。機械特性、耐熱性、耐薬品性、クリーン性等に優れ、様々な産業を支える部材や金属代替材料として使用されています。しかし、その機械的強度の高さゆえに、柔軟性が求められる用途では「硬くて使いにくい」といった課題もあります。

2. PEEK/フッ素樹脂複合材料とは

ダイキンでは、自社の強みであるフッ素樹脂との複合により、硬いPEEKに柔軟性をもたせた複合材料を開発しました。フッ素樹脂は高い柔軟性、摺動性、耐衝撃性があり、PEEKの良さを活かしながら、柔らかさを付与するのに適した材料です。また、ダイキン独自の混錬技術により、再溶融させても凝集せず、加工性にも優れています。

3. PEEK/フッ素樹脂複合材料の特長

PEEK/フッ素樹脂複合材料の主なメリットは柔軟性、摺動性、耐衝撃性、耐薬品性、の4点が挙げられます。

表1.PEEK/フッ素樹脂複合材料の物性表

PEEK/フッ素樹脂複合材料の物性表

(1)柔軟性

フッ素樹脂との複合により、曲げ弾性率が小さく、耐屈曲性はPEEKの数倍の値を示しています。加工性、折り曲げ性が大幅に向上し、折れエッジが立つPEEKに対して、折り曲げても表層剥離がありません。

動画1. 曲げ試験(16倍速)

図1. 曲げ試験後の写真

曲げ試験後の写真


  • (2)摺動性

摩擦係数の低減により摺動性が向上します。また、フッ素樹脂量を変更することで、更なる摩擦係数の改善も期待できます。

 

(3)耐衝撃性

シャルピー衝撃強度がPEEKの数十倍となり、靭性が向上します。

 

(4)耐薬品性

フッ素樹脂は、PEEKと同様に耐薬品性に優れる樹脂です。PEEK/フッ素樹脂複合材料は、医療用滅菌処理(過酸化水素ガス)後も、引張強さ等の機械的物性を維持します。

表2. PEEK/フッ素樹脂複合材料の耐薬品性

PEEK/フッ素樹脂複合材料の耐薬品性

4. PEEK/フッ素樹脂複合材料の想定用途

医療・食品用途:チューブ、シール材、軸受け

自動車・搬送部品用途:チューブ、軸受け、ギア(主導性、耐熱性、静音性)

電線・モーター用途(摺動性、耐屈曲性、低誘電率)

図2. 成型加工例(チューブ)

PEEK/F tube sample

図3. 成型加工例(プレート)

PEEK/F sheet sample

本記事内に記載の数値は一例であり、フッ素樹脂含有量の変更による物性の調整も可能です。

ご質問やサンプルのご要望など、お気軽にお問い合わせください。

*記載の数値や成形例は代表であり、本開発品の品質や特性を保証するものではありません。

また、本開発品は一般産業用であり、医療機器の適性や安全性を保証するものではありません

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Fluoropolymers

フッ素樹脂

ダイキンの強み

・フッ素ポリマーの設計・重合技術を活かした豊富な品揃え(ポリマー組成×変性タイプ):特に、高純度製品・変性タイプが得意
・テクニカルサービス:評価・分析、加工指導などでユーザーサポート充実

主な機能

耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、電気特性