電池材料

ダイキンはフッ素技術を活かし、電池の高容量・高効率・安全性・長寿命に貢献する電池材料を提供しています。

概要

現行のリチウムイオン電池には多くのフッ素材料が使用されています。リチウムイオン電池に対する高容量・安全性・長寿命のニーズは高まっており、高機能を有するフッ素材料がますます求められています。ダイキン工業化学事業部では、リチウムイオン電池向けに各種フッ素材料を展開しています。また、次世代電池の実用化にも貢献できるよう、次世代リチウムイオン電池や全固体電池などに向けた材料の開発にも注力しています。

ソリューション・特長

Applications and Solutions

用途 ソリューション 特長
1. ガスケット用樹脂

フッ素樹脂

ネオフロン PFA

長期信頼性

耐薬品性

2. 正極用バインダー樹脂

フッ素樹脂

ネオフロン VT-475

高容量化

柔軟性

3. SWCNT含有 正極用バインダー樹脂

フッ素樹脂

ネオフロン VTD-475N

高密着

低抵抗

4. ドライプロセス 正極用バインダー樹脂

フッ素樹脂

ポリフロン BDP

環境対応

コストダウン

5. 電解液溶媒・添加剤

フッ素化エーテル

SLFE1508

高出力

高電圧

ガス抑制

難燃性

1. ガスケット用樹脂 - フッ素樹脂 ネオフロン PFA

ネオフロンPFAはリチウムイオン電池のガスケットに適した材料です。

優れたシール性、電解液に膨潤しにくい耐薬品性、低い水蒸気透過性を備えていることから、長期信頼性に優れます。

他素材との復元率比較Comparison of recovery rates

電解液の膨潤試験

Swelling test in electrolyte

水蒸気透過率

Moisture permeation

2. 正極用バインダー樹脂 - フッ素樹脂 ネオフロン VT-475

ネオフロンVT-475は、リチウムイオン電池用PVdFバインダーの添加剤です。

リチウムイオン電池の高密度化(高容量化)設計に貢献します。

ネオフロンVT-475は塗工工程におけるスラリーの流動性低下を改善します。ニッケル含有率の高い正極材料(NMC811など)に用いてもスラリーのゲル化が起こりにくいため、安定した電池生産ができます。


ネオフロンVT-475を用いることで、巻き取り時にクラックを生じさせることなく、高密度(3.6g/cc以上)かつ高膜厚 (30mg/cm2以上)の電極を形成することが可能です。そのため、一般的なPVdFバインダーよりも高密度化(高容量化)を実現できます。

スラリーの安定性

Slurry stability

柔軟性

Flexibility

3. SWCNT含有 正極用バインダー樹脂 - フッ素樹脂 ネオフロン VTD-475N (開発品)

ネオフロンVTD-475Nは、VT-475と単層カーボンナノチューブを含むNMP分散液です。

少量のCNTを添加することで導電性が向上し、電池の高密度化に貢献します。

フッ素樹脂 ネオフロン VT-475

  • ・高密度化
  • ・柔軟性

  • ・スラリーの安定性


SWCNT (TUBALL TM)

  • ・高密着性
  • ・高導電性

  • ・高密度化(活物質量増加)

  •  

正極の配合例

[従来活物質/ CB /バインダー=97/1.5/1.5(wt%)

[新規活物質/ TUBALL TM/ CB /バインダー=98.52/0.08/0.4/1.0(wt%)


*TUBALL TMはOCSiAl S.A.(オクシアル社)の登録商標です。

Cathode SEM image of NEOFLON VTD-475N  
(VT-475 with TUBALL TM)

Cathode SEM image of NEOFLON VTD-475N

4. ドライプロセス 正極用バインダー樹脂 - フッ素樹脂 ポリフロン BDP

正極の製造工程において、現行の湿式プロセスではスラリーの調合や加熱工程が必要です。乾式プロセスは、NMPを含まないため、環境に優しくコストメリットが高い方式です。

ポリフロンBDPバインダーは、リチウムイオン電池、全固体電池の乾式プロセスに適しています。 

ウェットプロセス

ドライプロセス

5. 電解液添加剤 フッ素化エーテル (開発品)

電解液添加剤 フッ素化エーテルは、耐酸化性に優れ、引火点がありません。

フッ素化エーテルを用いた電解液は、シリコン系負極の電池性能を改善します。

優れた耐酸化性と安全性

電解液に高い耐酸化性を付与します。

また、引火点を有していないため、電解液の引火点を上げることができます。


寿命向上

FECと同様に、シリコン系負極の膨張収縮による容量低下を大幅に改善します。


抵抗増加抑制

電解液の分解を抑制し、抵抗の上昇を抑えます。


ガス発生抑制

負極添加剤として一般に使用されるFECと比較して、優れた化学的安定性を有します。

FECは脱炭酸ガスを発生させますが、フッ素化エーテルはガス発生を低減します。

サイクル試験

cycle-performance.jpg

保存試験(ガス発生量)gas-generation.jpg

市場・用途

Automotive

自動車

Energy Storage

電池・エネルギー

Electronics

エレクトロニクス

Aerospace

航空・宇宙

Home and Living

住宅・生活

関連製品

Fluoropolymers

フッ素樹脂

ダイキンの強み

・フッ素ポリマーの設計・重合技術を活かした豊富な品揃え(ポリマー組成×変性タイプ):特に、高純度製品・変性タイプが得意
・テクニカルサービス:評価・分析、加工指導などでユーザーサポート充実

主な機能

耐熱性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、電気特性